図書館のような余白を、インターネットに取り戻す

4 か月前
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この記事は、ひとりでつくるSaaS - 裏note Advent Calendar 2025 の18日目の記事です。

https://adventar.org/calendars/12464

個人開発で「Memoreru」というプロダクトを作っています。知識を整理し、思考を育てるためのツールです。

この記事では、インターネットにおける「余白」について考えてみます。

技術的な話はQiitaのアドベントカレンダーで書いています。ご興味のある方は、そちらもご覧ください。

https://qiita.com/advent-calendar/2025/solo-dev-memoreru


図書館という空間

図書館に入ると、空気が変わる気がします。

静かで、ゆっくりと時間が流れている。誰も急かさない。本を手に取り、気になるページを開き、また棚に戻す。その繰り返しが許される場所。

図書館には「余白」があります。

次のコンテンツを見せようとするアルゴリズムもない。注目を奪い合う通知もない。滞在時間を伸ばすための仕掛けもない。

ただ、本と自分だけがある。


詰め込まれたインターネット

一方で、インターネットはどうでしょうか。

画面の隅々まで情報で埋め尽くされている。スクロールすれば次のコンテンツが現れる。読み終わる前に、広告が目に入る。

余白がない。

隙間があれば広告が入り、空白があれば外部のおすすめが表示される。ユーザーの目を一瞬たりとも離さないように設計されている。

これは「ユーザー体験の最適化」と呼ばれています。でも、最適化されているのは誰にとってでしょうか。


立ち止まる余地

図書館で本を読むとき、ふと窓の外を眺めることがあります。

読んだ内容を頭の中で反芻する。自分の経験と結びつける。新しい疑問が浮かぶ。

この「立ち止まる時間」が、理解を深めます。

でも、インターネットでは立ち止まりにくい。

次のコンテンツがすぐに目に入る。未読の通知が気になる。スクロールする指が止まらない。

情報は入ってくるけど、消化する時間がない。


静けさの価値

考えてみれば、深い思考は静けさの中で生まれます。

アイデアがひらめくのは、シャワーを浴びているときや、散歩しているときだと言われます。それは、外部からの刺激が遮断され、頭の中で情報が整理される時間だからでしょう。

常に新しい刺激を受け続けていると、この整理の時間がなくなります。

インプットばかりで、咀嚼がない。知識が身につかず、流れていくだけ。


余白のあるデザイン

Memoreruを作るとき、意識しているのは「余白を残す」ことです。

画面を情報で埋め尽くさない。外部のコンテンツを押し付けない。ユーザーが自分のペースで読み、考え、整理できる空間を作る。

Memoreruにも関連コンテンツを表示する機能はあります。ただし、それは自分が保存した知識の中から「つながり」を見つけるためのものです。アルゴリズムが外部から持ってきたものではなく、自分の頭の中を整理する補助として機能します。

これは、エンゲージメントを最大化する設計とは逆方向です。

滞在時間を伸ばすことより、ユーザーが「必要なものを得て、満足して離れる」ことを目指す。また来たいと思えるのは、居心地の良さがあるからです。


「長居させる」ではなく

多くのサービスは、ユーザーを長く滞在させることを目標にしています。

長く滞在すれば、広告の表示回数が増える。エンゲージメント指標が上がる。投資家へのアピールになる。

でも、ユーザーにとって「長く滞在できた」は価値でしょうか。

気づいたら1時間経っていた、という体験は、満足感より後悔を残すことが多い。

図書館は「長居させる」ことを目的にしていません。でも、人はまた図書館に行きたくなる。それは、そこで過ごした時間に価値があったからです。


自分のための空間

私がMemoreruで作りたいのは、「自分のための知識の場所」です。

アルゴリズムが選んだものではなく、自分が選んだものがある。誰かに見せるためではなく、自分のために整理された情報がある。

静かに読み、考え、書き残す。

そういう場所が、インターネットにもあっていい。


おわりに

図書館のような余白を、インターネットに取り戻せないかと考えています。

  • 余白の価値: 立ち止まり、考える時間を生む
  • 静けさの効用: 深い思考は刺激のない時間に生まれる
  • エンゲージメントの罠: 長い滞在時間が価値とは限らない
  • 居心地の良さ: また来たいと思える空間を作る

すべてのサービスが図書館である必要はありません。でも、インターネットのどこかに、静かに過ごせる場所があってもいい。

Memoreruが、そういう場所のひとつになれたらと思っています。

開発の過程で考えたことを、引き続きこのnoteで書いていきます。

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