ライブ本番の反省ノートを、翌週の練習に持ち越す書き方

3 か月前
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ライブ本番の反省ノートを、翌週の練習に持ち越す書き方

ライブの翌日って、頭のなかが感想だらけになる。

「2曲目のサビ、走った」「Tのキックと合ってなかった瞬間ある」「アンプの設定で低音出すぎた」みたいなのが、入り混じってぐるぐる回る。で、その日のうちにスタバでノートを開いて、思いついた順に箇条書きにする。これを何年もやってきた。

問題は、翌週の練習までに、このノートが役に立たない状態に風化することだった。

1週間で何が起きるか

本番終わった日の夜は、悔しさが鮮明だ。サビで走った瞬間の感覚も、Tと目が合ったときの「あ、ズレた」っていう冷たい感じも、全部リアルに残ってる。

これが、72時間で半分になる。1週間で4分の1くらいになる。

具体的には、月曜には「サビが走ったらしいけど、どのサビだっけ」になり、水曜には「走った原因、テンポ感だっけ、ピッキングの強さだっけ」になり、土曜のスタジオ入り直前には「とりあえずあの曲を通そう」になる。ノートは見返してる。でも、書いてある言葉から本番のあの感覚を呼び戻せない。

去年まで、自分はこの「風化」を「集中力の問題」だと思ってた。違った。書き方の問題だった。

失敗してたフォーマット

最初の頃のノートを掘り返すと、こういうのが書いてある。

- 2曲目 走った - ベースソロ 緊張した - 4曲目イントロ もたついた - 機材 低音出すぎ - T のキック ズレた瞬間あり - アンコールの曲順 K と要相談

これだと、1週間後の自分が困る。「走った」のは事実か感覚か。「もたついた」のは自分のせいか他の楽器か。「低音出すぎ」って、誰の耳で判断したのか。本番直後の自分には全部明らかなんだけど、1週間後の自分は他人みたいなもんだ。

仕事でも同じことが起きる。商談の直後にメモを取らないと、翌週の会議で「あれ、あの案件の論点なんだっけ」になる。営業で叩き込まれたのは、感想と事実を必ず分けて書くってこと。これをバンドのノートに持ち込んでなかった。これに気づいたのが、たぶん32歳くらいだったと思う。

いまの3段構成

ここ2年くらい、こういう構成に落ち着いてる。1項目あたり3行使う。

[事実] 2曲目サビ、自分のテンポが先行してた。Tのキックより半拍前にルートを置いてた感触 [仮説] サビでテンション上げようとして無意識にピッキング強くなった。強くなると前に出る癖 [練習] 来週スタジオで2曲目サビをクリックに合わせて単音で弾く。強弱付けないで30回

事実は「何が起きたか」だけ書く。「走った」じゃなくて「半拍前にルートを置いてた感触」みたいに、自分のなかで再現できる具体に落とす。

仮説は「なぜそうなったか」の自分なりの仮説。間違っててもいい。書いてあれば1週間後に検証できる。

練習は「翌週のスタジオで何をやるか」を1行で。これがないと、土曜のスタジオで「とりあえず通す」に戻る。

例を1つ書いてみる

先月の3rd セットでやらかしたのが、4曲目のイントロ。Tのドラムが入ったあとに自分のリフが2小節目から始まる構成なんだけど、本番で1小節遅れた。明確にミスった。

直後のノートだと「4曲目イントロ もたついた」だった。これだと翌週何していいか分からない。

3段構成で書き直すとこうなる。

[事実] 4曲目イントロ、Tのキックが入ってから2小節目で入るところ、3小節目から入った。 1小節遅れ。本番中に気づいてフィルで誤魔化したけど明確なミス [仮説] 1小節目のキックを「カウント」だと聞いてた。実際はキック自体が1小節目の頭。 リハで頭の中で「1, 2」って数えてたのを本番でやらなかった [練習] 来週スタジオで、4曲目イントロだけ10回繰り返す。Tに頼んで頭のキックを少し強めに 踏んでもらう。自分は1小節目の頭で必ず軽くピックガードを指で叩いて入る合図にする

これを書いておくと、火曜の夜にノートを開いて「ああ、これな」って思い出せる。土曜のスタジオで何をやるかも明確になる。Tに「頭強めに踏んでくれ」って言う1行も、書いてないと忘れる。

書くタイミングは「翌日の昼」がベスト

本番当日の夜に書こうとして、何度か失敗した。テンション高すぎて事実の解像度が落ちる。「2曲目すごい良かった!」みたいなテンション任せの文字列が並ぶ。

逆に3日待つと、解像度が落ちる。

自分にとってのスイートスポットは、翌日の昼休み。営業の合間にスマホのメモで書き殴る。本番のテンションは抜けてて、でもまだ感覚が残ってる。仕事中に書くと、自然と「事実」のところがそっけなくなる。これがいい。

練習日の朝にもう一回開く

翌週の練習日、朝にもう一回ノートを開く。これが結構効く。

火曜の段階で書いた[練習]の項目を、スタジオ入りの土曜の朝に読み直すと、「あ、そうだ、今日これやるんだった」って思い出せる。読み直さないと、スタジオに入った瞬間に頭が真っ白になって「とりあえず1曲目から通そう」になる。これがいちばんもったいない。

スタジオの最初の30分を、ノートの[練習]項目だけに使う。バンド全員で通すのはそのあと。これがここ半年で固まってきたルーティンで、Tにも好評だ。

反省ノートは「未来のための道具」

書いてみて思ったのは、反省ノートって、過去の整理のためじゃなくて、来週の練習を設計するためにあるんだなってこと。

事実と仮説と練習の3段で書いておくと、「悔しさ」を「来週やること」に変換できる。変換しないと、悔しさだけが残って、同じ失敗を繰り返す。営業で達成率を振り返るときと、構造としては全く同じだった。営業もバンドも、振り返りの意味は「次の打席をどう変えるか」だ。

ただ、営業の振り返りと違うのは、バンドのは書きながら少し楽しい。失敗した瞬間の感覚を、文字にして整理してるうちに、「次あれ試してみたいな」が湧いてくる!この感覚が湧かないようなノートになってたら、書き方がまだズレてる、っていう判断基準にもなる。

ノート1冊、3年使ってる。あと2年は持ちそうだな。

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