DXの本質はツール導入ではなく現場が自分で作れること

5 months ago
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この記事は、ひとりでつくるSaaS - 裏note Advent Calendar 2025 の8日目の記事です。

https://adventar.org/calendars/12464

個人開発で「Memoreru」というプロダクトを作っています。知識を整理し、思考を育てるためのツールです。

この記事では、DX(デジタルトランスフォーメーション)について考えていることを書きます。

技術的な話はQiitaのアドベントカレンダーで書いています。ご興味のある方は、そちらもご覧ください。

https://qiita.com/advent-calendar/2025/solo-dev-memoreru


「DX」という言葉の違和感

「DX推進」「DX担当」という言葉を聞くようになって、しばらく経ちます。

でも、この言葉を聞くたびに、少し違和感を覚えます。DXがうまくいっている会社と、そうでない会社の違いは何だろう、と。

私はノーコード開発ツールを提供する会社でPdM(プロダクトマネージャー)として働いていたことがあります。SIの案件も数多く経験しましたが、その現場でもDXは「新しいツールを導入すること」として捉えられることが多かったです。SaaSを契約する。業務フローをシステム化する。紙をなくしてデジタル化する。

ツールの導入で変わった部分もありました。でも、開発者向けのツールは非エンジニアが使いこなせない、という課題がありました。


「作る側」と「使う側」の分離

ツール導入がうまくいかない根本原因は、「作る側」と「使う側」が分離していることだと考えています。

従来のシステム開発では、現場がやりたいことを要件としてまとめ、IT部門やベンダーに依頼します。開発には時間がかかります。できあがったものが微妙にイメージと違う。修正にまた時間がかかる。

このサイクルでは、業務の変化にシステムが追いつきません。


ノーコードツールでも足りなかったこと

ノーコードツールは、項目の追加やフォーマットの変更には対応できます。ベンダーに依頼しなくても、自分でカスタマイズできます。

しかし、それでもうまくいかないケースがありました。

ツール自体が、ある程度のITリテラシーがないと使いこなせないものだったからです。開発者やIT部門の人には便利でも、現場の非エンジニアには敷居が高い。結局、「使い方を教えて」「設定して」という依頼が発生します。

また、テーブル設計を理解していない現場の担当者が作成してしまい、非効率なデータ入力・管理になっているケースもありました。結局、ExcelがWebに置き換わっただけ。

せっかくのノーコードツールが、一部の人にしか使えない。使えても良い設計ができない。これでは、本当の意味で「現場が自分で作れる」とは言えません。


現場が「自分で作れる」こと

私がMemoreruで実現したいのは、「現場が自分で作れる」環境です。

非エンジニアでも、必要なテーブルを自分で作れる。必要なビューを自分で定義できる。業務が変わったら、自分で修正できる。

コードを書く必要はありません。SQLを書く必要もありません。でも、やりたいことは自分で形にできる。

これが、私が考える「本当のDX」です。


Excelが愛される理由

なぜExcelは、いまだに多くの現場で使われ続けているのでしょうか。

それは「自分で作れる」からです。

新しい列を追加したければ、右クリックで追加できます。関数を変えたければ、セルを編集すればいい。レイアウトを変えたければ、ドラッグで並び替えればいい。

IT部門に依頼する必要はありません。見積もりを待つ必要もありません。今すぐ、自分で変えられる。

この「自己決定権」が、Excelの強さだと思います。


Memoreruが目指すもの

Memoreruは「Excelの良さ」と「データベースの良さ」を両立させようとしています。

ITリテラシーが高くない人でも、良いテーブル設計ができるように機能やUXを工夫しています。テキストや数値、日付、チェックボックスなど豊富な項目タイプから、ドラッグ&ドロップで直感的にテーブルを作成できます。Excelのように自由に編集できて、データ型があるのでデータの活用もしやすい。

複数人で同時に編集しても壊れません。検索もフィルタリングもできます。

そして、テーブルのデータを画面上でそのまま絞り込んだり集計したりして、ビューを作れます。BIツールのように豊富なグラフも作れます。それらを組み合わせてダッシュボードにまとめることもできます。

「こういうデータを取りたい」と思ったとき、IT部門に依頼するのではなく、自分で作れます。


DXは「自分で変えられる」こと

DXの本質は、デジタルツールの導入ではなく、現場への権限移譲だと考えています。

「データをどう管理するか」を現場が決められる。「どう可視化するか」を現場が決められる。IT部門の承認を待たなくても、必要なものを自分で作れます。

もちろん、全社的なセキュリティポリシーや、他システムとの連携は、IT部門の役割として残ります。でも、日常業務のデータ管理や可視化は、現場に任せていい。

その方が速いし、現場のニーズに合ったものができます。


おわりに

「DX」という言葉が独り歩きして、ツール導入や業務システム刷新が目的化しているように見えることがあります。

でも本当のゴールは、現場が自分たちの業務を、自分たちで改善できる状態になることだと思います。

Memoreruがその一助になれればと思っています。

開発の過程で考えたことを、引き続きこのnoteで書いていきます。

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