同じ路線を2年走って、季節で変わるトラックの並び
同じ路線を2年走って、季節で変わるトラックの並び
午前2時、県境のSA。上りの大型枠に4tウィングを停めて、運転日報を書いてる。
このSAに停めるのは、たぶん月に8回くらい。同じ路線を2年走ってる。出発のターミナルも、配送先のターミナルも、ほぼ固定。だから経由するSAも決まってる。
最近気づいたことを書いておく。
同じSA、同じ時間、同じ駐車枠に止めても、季節で並ぶトラックの顔ぶれが違う。
冬の並び
1月から2月。深夜のSAは静かだ。
大型枠は半分くらいしか埋まらない。並んでるのは、ほとんどが定番の路線車だ。大手の路線屋の10t、青系のウィング、白の冷蔵車。社名は2、3社に偏る。E1高速を毎日往復してる連中だ。
冬は荷物の総量が落ちる。年末年始の山を越えると、2月の前半までは物流全体が緩む。だからSAも空く。
ただ、午前4時前後から、青果系の冷蔵車がぽつぽつ入ってくる。九州や四国から上がってくるやつだ。冬の青果は産地が南に偏るから、北上してくる冷蔵車が増える。中継地点のSAで、この時間に集中する。
俺の4tはこの時間にSAを出るが、冷蔵車が並び始める瞬間を毎週見てる。
春の並び
3月後半から、SAが急に混む。
引っ越し屋のトラックが入ってくる。社名は2、3社に集中する。大手の引っ越し屋、それぞれ車体カラーが違うからすぐ分かる。3月の最終週は大型枠の8割くらいが引っ越し屋に埋まる夜もある。
4tウィングを停める場所がない、ということが3月末は何回かあった。先月だ。
引っ越し屋のトラックは深夜のSAで仮眠してる時間が長い。連続運転の規制が厳しいのと、引越し先の搬入時間が朝決まってるから、夜は早めに着いて寝ておく必要がある。だから午前2時のSAに、シャッターを下ろした引っ越し車が並ぶ。
4月に入ると引っ越し屋は消える。代わりに、青系の路線車が戻ってくる。春は新生活の家電・家具の動きが残るが、5月の連休前まではむしろ全体的に落ち着く期間だ。
夏の並び
6月から、観光地行きのトレーラーが入ってくる。
夏のSAは派手だ。家電メーカーのコンテナトレーラー、清涼飲料水の10t、ビール会社の10t。色がカラフルになる。社名のロゴが大きく入ったやつが増える。
夏は荷物の量が増えるから、SAも満車が当たり前になる。大型枠が埋まって、はみ出した連中が乗用車枠に頭を突っ込んで停めてる。SAの管理員が回ってきて注意する声が、夜中によく聞こえる。
7月の終わりから8月の頭は、お盆前の駆け込みでさらに混む。この時期は俺の運行も詰まる。仮眠の時間が短くなって、SAで90分寝るところを60分に削ることが増える。
並ぶトラックを観察する余裕も、夏は少ない。
秋の並び
9月後半から、青果系の冷蔵車がまた増える。
秋の青果は産地が動く。北海道、東北、信州、関東、九州、と緯度を下げながら収穫が進む。SAに停まる冷蔵車の社名も、それに合わせて変わる。
俺はこの時期、停まってるトラックの社名と車体カラーをよく見てる。
8月までは見たことなかった北海道の社名が、9月に1台、10月に3台、11月に5台、と増えていく。冬の青果が南からだったのと逆だ。
11月になると、年末の駆け込み出荷が始まる。雑貨の10t、家電の10t、酒類の10t。年末セール向けの倉庫間移動が動き出す。SAは秋の終わりからまた急に混む。
自分が運ぶ荷物も、季節で変わってる
ここまで書いて、思い当たった。
自分が運んでる荷物も、季節で変わってる。
俺の路線は、出発ターミナルと配送先のターミナルが固定だから、ずっと同じ荷物を運んでる気でいた。だが実際は、ターミナル間で動く品物が季節で違う。荷主は何社かいて、それぞれの繁忙期が違う。冬は冷凍食品が増える。春は飲料が増える。夏は雑貨が増える。秋は調味料と保存食品が増える。
だから自分が運ぶ荷物も、SAに並ぶトラックも、同じ法則で動いてる。
これに気づいたのは、たぶん2年目に入ってからだ。
1年目は、SAの並びを「今夜は混んでるな」「今夜は空いてるな」としか思ってなかった。2回目の冬を迎えたあたりで、「去年もこの時期、引っ越し屋いなかったな」「青果車、今年も増えてきたな」と、自分の中の去年の記憶と照らせるようになった。
同じ路線を2年走らないと、見えない景色がある。
3年目に何を見るか
来週から3月後半。引っ越し屋が増えてくる時期だ。
3年目は、引っ越し屋の社名の比率を、もう少し細かく見てみようと思ってる。去年は大手3社が中心だったが、ここ最近は中堅の社名も見かける。業界の地図が動いてる可能性がある。
ドライバーの仕事は、運転と荷扱いと記録だけだと思われがちだが、実際はSAの並びを見るだけで業界の景気が大体分かる。誰も教えてくれないが、2年走ると勝手に分かるようになる。
これを観察できるのは、夜のSAに停めたドライバーの特権だ。