レジ締めの30分を、5分短くするために手放した手順

3 weeks ago
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レジ締めの30分を、5分短くするために手放した手順

うちの店のレジ締めは、夜勤の交代時間にやる。これがずっと30分かかっていた。マニュアル通りにやると、まあそれくらいになる。これを2ヶ月かけて25分に短縮した。たかが5分、と思うかもしれないが、夜勤と早番のシフトが重なる時間に5分の余裕が生まれると、店全体のオペレーションが結構変わる。

書くのは、何をやったかではなくて、何を手放したか。レジ締めの改善は、足し算ではなく引き算でやる方が早い、と自分は思ってる。新しい手順を加えるのは、たいてい現場の負荷を上げる。やめられる手順を見つけて、やめる。それだけだ。

何をしていたか(手放す前のレジ締め30分)

引き算の話の前に、何をしていたかを書く。本部マニュアルではこうなっている。

  1. ドロアーを開けてレジ内の硬貨・紙幣を全種類カウント
  2. レジ点検レポートを印刷
  3. 売上日報を印刷
  4. つり銭準備金を翌日ぶんセット
  5. 釣銭機の動作確認(テスト硬貨を入れて出す)
  6. レジ釣銭過不足の記入
  7. クレカ・電子マネー・QRコード決済の精算レポートを各社ごと印刷
  8. 配送便ごとの預かり伝票を仕分け(宅配・クリーニング・チケット類)
  9. レジ周辺の清掃(ドロアー裏、レジカウンター、釣銭機の外周)
  10. レジ閉鎖の確認、夜勤への引き継ぎノート記入

これを2人でやる。30分。ピーク時間後の22時頃から始めて、22時半に交代する流れだった。

手放した手順1: 「全種類カウント」を「1円・5円・10円のみカウント」に削った

最初に手を付けたのは、レジ内の硬貨カウント。

毎日全種類数えていた。1円玉、5円玉、10円玉、50円玉、100円玉、500円玉、紙幣、ぜんぶ。これに5分かかっていた。マニュアルに「全種類カウント」と書いてある。

過去半年のレジ過不足記録を見たら、過不足が出るのは1円・5円・10円の小銭がほとんどだった。100円玉以上で過不足が出たのは、半年で2回。しかも2回とも、釣銭機の機械的トラブルで、人為的なミスではなかった。

毎日5分かけて100円以上の硬貨を数える意味があるか。考えて、やめた。1円・5円・10円のみ毎日カウントして、50円以上は週1回の棚卸日にまとめてカウントすることにした。毎日のカウントは5分から1.5分に短縮。1日3.5分の短縮になる。

ただ、これはSVに事前相談した。マニュアルから外れる運用なので、過不足が出たときに揉めると面倒だ。「過不足は週次の棚卸でちゃんと合わせます」と説明したら、SVは「数字が合うなら問題ないです」と言った。本部の人は数字が合えば何でもよくて、手順がどうかは見ていない。これも8年目で学んだ。

手放した手順2: 「全種類のレポート印刷」を「電子データ参照」に切り替えた

次に手を付けたのが、各社決済のレポート印刷。

クレカ、Suica、Edy、QRコードのPayPay、d払い、各社のレポートを毎日紙で印刷していた。これに3分。理由は「過去にトラブルがあったとき紙で残ってる方が探しやすいから」と前任のSVに聞いた覚えがある。

ただ、紙のレポートはバックヤードの引き出しに2年ぶん溜まっていて、誰も見返したことがない。実際にクレカ会社や決済事業者から問い合わせが来たことが過去にあったか、と過去のメモを遡ったら、過去5年で2件だった。しかも2件とも、POSの電子記録から十分対応できた。

紙の印刷をやめて、月次でPOSのCSVをエクスポートしてPCに保存する運用に変えた。毎日3分かかっていたのが、月1回15分になった。月で計算すると、3分×30日=90分が、15分になる。1日あたり75分の短縮。

紙のレポートを完全になくしたわけではない。1日の決済合計だけ、A4一枚に手書きでまとめて貼っておく運用に変えた。これなら30秒で済む。もし税務調査が来たら、その紙とPOSデータで対応できる。本部からも、いまのところ何も言われていない。

手放した手順3: 「テスト硬貨での釣銭機動作確認」を毎日から週次に変えた

釣銭機の動作確認も毎日やっていた。テスト用の硬貨をセットして、釣銭機が正しく出すかを確認する作業。これに2分。

これも過去のトラブル記録を見たら、釣銭機の不具合が出たのは年に1〜2回程度だった。しかも不具合の予兆は、テスト硬貨を入れる前に音や動きで分かることが多い。毎日2分かけてテストする意味は薄い。

週1回、棚卸の日にまとめてやることにした。1日あたりの短縮は1.7分。地味だが積もる。

手放した手順4: 「夜勤への引き継ぎノート」を口頭5分から、テンプレ書式の30秒に変えた

これは手放したというより、書式を変えた話。

夜勤への引き継ぎは、自由記述のノートに書いていた。「今日は鶏唐弁当が早く売れた、明日も多めに発注した」「Mさん(夜勤バイト)から、トイレの水流が弱いと連絡あり」みたいな内容を、毎晩5分かけて書いていた。

書くのに5分かかっていたが、夜勤の人は2行くらいしか読んでいなかった、と分かった。Hさん(夜勤の長いバイトさん)に聞いたら、「字が読みにくいので、要点だけ箇条書きにしてほしい」と言われた。長文で書いていた自分が悪い。

書式を3項目だけのテンプレに変えた。

項目
今日の異常事項なし/弁当の納品が30分遅延
明日の特記11時に本部訪店/配送便がいつもの15分遅れ
設備の問題なし/フライヤー2号機の音が大きい

これだけ。30秒で書ける。Hさんは「読みやすくなって助かる」と言ってくれた。これも長文で書いていた頃の自分が、たぶん「ちゃんと書いている感」を出したかっただけだ。読み手の立場で考えたら、3項目で十分だった。

残した手順、減らさなかった手順

引き算の話だが、減らさなかった手順もある。減らさなかった理由も書いておく。

  • レジ周辺の清掃:これは減らせない。毎日やらないと油汚れが固まる。フライヤーの近くだから、清掃の頻度を落とすと、すぐ汚れが目立つ
  • ドロアー裏のホコリ取り:これも毎日。1円玉が転がり込んだままになると、後から数えが合わなくなる
  • レジ閉鎖の確認:これは絶対。閉鎖し忘れて朝になると、レジが動かなくて開店が遅れる。1回経験して懲りた

「やめても困らないか」を考えて、困るなら残す。困らないなら手放す。それだけのことだが、現場にいると「マニュアルにあるからやる」になって、判断が止まる。引き算は、判断を取り戻す作業だ。

引き算しながら気づいたこと

引き算をしながら、自分のなかで変わった意識がある。

最初は「時短のため」と思って始めた。30分を25分にしたかった。途中から、これは時短の話だけじゃないと気づいた。

レジ締めの手順には、現金管理の信頼性の確保と、業務時短のバランスがある。全部やればミスは減るが、夜勤の交代がきつい。減らしすぎると、過不足が出て後で揉める。バランスをどこに置くかは、店のサイズ、客層、スタッフの構成によって違う。本部マニュアルは「大は小を兼ねる」発想で全部やる前提で書かれてる。けど現場では、手放してもいい手順がある。

たぶん、本部マニュアルを作っている人は、新規開業の店を想定している。新規の店はトラブル時の対応経験が浅いから、全部やっておく方が安全。8年やった店なら、自分の店のトラブル傾向を分かっているので、減らしていい手順が見える。マニュアルから外れる勇気と、外れた理由を数字で説明できる準備が必要だ。

夜勤のHさんから先週、「最近レジ締めが楽になった、ありがとうございます」と言われた。Hさんは寡黙な人で、わざわざ礼を言いに来ることは少ない。たぶん本当に楽になったのだと思う。

次に手放したい手順

5分短くしたが、まだ削れる手順がある気がしている。

  • つり銭準備金のセット:これも毎日やってる。週次でまとめてセットしておく運用に変えられないか
  • 配送便の伝票仕分け:いまは便ごとに分けてホチキスで留めてる。本部の電子化対応が来年ある、と聞いた。来年まで様子見

時短はやり始めると癖になる。ただ、減らしすぎると現場が緩む。25分から20分にするのは、もう少し慎重にやろうと思っている。

レジ締めが終わった。深夜0時。今日は24分で終わった。明日のシフトの確認をして、夜勤に交代する。

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