廃棄ロス率を0.3ポイント下げるためにやった3つのこと
廃棄ロス率を0.3ポイント下げるためにやった3つのこと
FC8年目の店で、月次の廃棄ロス率が3ヶ月かけて0.3ポイント下がった。3.1%から2.8%。たった0.3ポイントだが、うちの規模だと月次の粗利で結構な差になる。何をやったかを、後から自分が見返せるように残しておく。
最初に書いておくと、特別なことは何もしていない。本部から配られる発注推奨を全部無視したわけでもないし、新しいシステムを入れたわけでもない。やったのは、自分の頭で発注の根拠を考え直したこと、それだけだ。
きっかけ
2月のロス日報を見ていて、自分の店のロス率が、近隣の同チェーン3店舗の平均より0.4ポイント高いと気づいた。SVが月初の訪店で「平均より上です」と言いに来たわけではない。SVから渡された比較データを、自分でエクセルに貼り直して気づいた。SVは数字を渡すだけで、原因は深掘りしない。まあ、本部の仕事はそういうものだ。
ロスのカテゴリ別内訳を見ると、ホットスナックと米飯が全体の6割を占めていた。とくに米飯の弁当が、廃棄金額ベースで一番大きかった。発注はずっと本部の推奨数の0.9掛けでやってきた。それで本部からは「もう少し攻めてもいい」とよく言われていた。攻めるとロスが増える。攻めないと機会損失が増える。この板挟みは、コンビニをやってきた人なら全員経験してると思う。
やったこと1: 米飯の発注を、推奨ではなく直近28日の販売実績で組み直した
最初の1ヶ月でやったのは、米飯カテゴリの発注ロジックを丸ごと変えたこと。
それまでは本部の発注推奨数を見て、それに0.9を掛けて発注していた。本部の推奨は、近隣店舗の平均、気象、曜日、キャンペーンを加味した数字らしい。便利なのは便利だが、うちの店の客層(半分が近所の工場勤めのおじさんと、夜勤明けの看護師さん)には、ちょっと合わない日が多かった。
直近28日の販売実績を、曜日別・時間帯別でPOSから引いて、自分で表に貼り直した。たとえば月曜の11時から13時にどの弁当が何個出ているか、それを4週間ぶんの平均で出す。やってみると、本部推奨と平均的に1割から2割ずれているSKUがいくつもあった。
| SKU区分 | 本部推奨(月平均) | 自分の実績ベース | 差 |
|---|---|---|---|
| 幕の内系 | 14 | 11 | -3 |
| のり弁 | 9 | 12 | +3 |
| カレー系 | 7 | 5 | -2 |
| 唐揚弁当 | 11 | 13 | +2 |
幕の内系は推奨より少なく、のり弁と唐揚は推奨より多く。これだけのことだが、米飯の月次ロスが1ヶ月で0.15ポイントぶん下がった。意外に大きい。本部の推奨は、平均的な客層を前提にしている。うちの客層は平均的じゃない。当たり前のことに、8年やってきてようやくちゃんと向き合った。
やったこと2: 廃棄の予測時刻を見て、値引きの判断を前倒した
2ヶ月目は値引きの運用を変えた。
うちのチェーンは、消費期限の3時間前から値引きしていい運用になっている。それまでは深夜の最終確認で、期限の2時間前にチェックして、残ってるものに値引きシールを貼っていた。これがあまり機能していなかった。深夜の2時間前というのが、24時前後の客足が落ちる時間と重なっていて、結局そのまま廃棄されることが多かった。
POSの売上推移を時間帯別に見直した。気づいたのは、米飯の山がもう一つ22時頃にあったことだ。夜勤前の人と、残業帰りの人が買っていく。22時前後に値引きを始めれば、廃棄予測のSKUが結構掃ける可能性がある。
| 時間帯 | 値引き前の販売(米飯・1日平均) | 値引き後の販売(米飯・1日平均) |
|---|---|---|
| 20時台 | 6 | 6 |
| 21時台 | 4 | 5 |
| 22時台 | 3 | 7 |
| 23時台 | 2 | 3 |
22時台に値引きシールを貼る運用に変えてから、22時台の米飯販売が4個ぶん増えた。22時台で売れた4個は、本来なら深夜に廃棄されていたものだ。1日4個でも、月で120個、廃棄金額ベースで結構な額になる。
ただ、SVには事前に相談しなかった。「値引きを早めると本部の値引き原資を圧迫する」と止められそうな気がしたからだ。あとで月次の数字を見せて事後報告したら、何も言われなかった。数字で示せばだいたい何も言われない。これも8年目で学んだことだ。
やったこと3: ホットスナックの揚げ置きを、ピーク時間に集中させた
3ヶ月目はホットスナック。ここが一番手応えがあった。
それまでは、開店から閉店までの12時間で、フライヤーで揚げる回数を3時間おきに6回均等に分けていた。マニュアル通りだ。ただ、ホットスナックの売上の7割が、朝7時から9時と、夜18時から20時に集中していた。残りの3割を、それ以外の8時間で売っている。
均等に揚げると、ピーク以外の時間に揚げたぶんが、フライヤー上で時間切れになって捨てられる。うちのチェーンのルールで、フライヤー上に置ける時間は決まっている。これを過ぎると廃棄。揚げ置きの量を、ピーク前に厚く、それ以外に薄くした。
具体的には、7時の直前と18時の直前は推奨の1.5倍揚げる。10時から17時の間は、推奨の0.5倍にして、足りなくなったら都度揚げる。バイトさんには「都度揚げの判断はホールにいる人がやる」と決めて、フライヤー前の判断の責任者を明確にした。これが地味に大事で、誰が判断するか曖昧だと、結局マニュアル通りに揚げてしまう。
| 時間帯 | 旧運用での廃棄(個・1日平均) | 新運用での廃棄(個・1日平均) |
|---|---|---|
| 朝ピーク前後 | 3 | 2 |
| 日中 | 8 | 3 |
| 夜ピーク前後 | 4 | 2 |
| 深夜 | 5 | 4 |
日中の廃棄が大きく減った。これでホットスナックのロスが0.1ポイントぶん下がった。1+2+3の合計で、当初の0.3ポイントになる。
途中で気づいたこと
3つ目をやっている途中で、自分のなかで目的がずれてきていることに気づいた。
最初は「ロス率を下げる」が目的だった。それが、データを見ているうちに、「ロスは下げきれない。下げるべきは、売れない時間帯の発注量だ」に変わった。さらにそこから、「いや、売れない時間帯にも一定量並べないと、たまにフラッと寄ったお客さんが何も買わずに帰る。その機会損失も計算に入れないと意味がない」に変わった。
ロス率0%を目指すと、棚はスカスカになる。スカスカの棚を見たお客さんは「あの店、品切れだから別の店に行こう」となる。これが一番怖い。一度離れたお客さんは戻ってこない。
つまりロス率を下げる作業は、ロスを減らす作業ではなくて、「どこのロスを許容して、どこのロスを削るか」を決める作業だった。米飯と弁当は許容ラインを下げてもよくて、ホットスナックの日中は、もっと攻めて捨てる量を減らせる。逆に、朝のおにぎりは多少捨ててでも、品切れにしてはいけない。
この使い分けは、本部の発注推奨にはない。SVが教えてくれるものでもない。自分の店、自分の客、自分のスタッフを見て、自分で決めるしかなかった。
残った宿題
3ヶ月で0.3ポイント下がったが、近隣店舗の平均にはまだ届いていない。あと0.1ポイントは下げたい。
次に手を付けようと思っているのは、深夜帯の発注タイミングだ。いまは深夜にまとめて翌日の昼までぶんを発注している。これを午前に変えると、午前の在庫状況を見てから判断できるはずだ。仮説はあるが、まだ検証していない。
あと、本部の発注推奨の「外し方」をスタッフにも共有したい。いまは自分一人で見ているので、自分が休みの日は本部推奨そのままで動いてしまう。そこも改善の余地がある。
ロス日報を閉じる。今日は2.7%。先月の月平均より低い。明日もこれくらいで終われると、月次の平均がもう少し下がる気がする。