振付制作で、曲を30秒ずつに区切る前にやっている1つのこと

3 months ago
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振付制作で、曲を30秒ずつに区切る前にやっている1つのこと

振付の依頼を受けると、私は前まですぐに曲を30秒くらいの塊に区切って、Aメロ・Bメロ・サビでフレーズを当てはめていく方法でやってた。
たぶん、これは結構な人がやってる作り方だと思う。学校でも最初にこのやり方を教わる気がする。

でも、何曲か作るうちに、ある問題に気づいた。
できあがる振付がどれも「8カウントが連なってるだけ」みたいになる。全体として何を見せたいのか、自分でもよく分からないまま終わる。

それで、ここ1年くらいやってるのが、曲を区切る前にひとつ、必ずやってる工程がある。
今回はその話を書く。

結論: 曲を聴いて「体のどこが反応したか」をマッピングする

これだけ。
具体的には、曲を一回通しで聴いて、聴いてる間に、体のどこがピクッと動いたか、どこが熱くなったか、どこが「ここで動きたい」って言ったか、を全部メモする。

最初に書いておくと、これはコリオを考える前の工程。フレーズも、ステップも、フォーメーションも、まだ考えない。
ただ、曲を体で受け止めて、その反応を記録するだけ。

具体的なやり方(聴くときの姿勢が大事)

私は床に寝転がって、目を閉じて聴く。
ソファに座って聴くのもダメ。立って聴くのは絶対ダメ。立って聴くと、私の体は勝手にいつものステップを始めちゃって、「曲の反応」じゃなくて「既存の振り」が出てきちゃう。

寝転がると、体が動けないから、反応がそのまま体の中に溜まる。これが大事。
動けない状態で「ここで動きたい」って気持ちが出てきた瞬間が、本物の反応。

メモは紙のノートに、曲の時系列に沿って書く。
たとえばこんな感じ。

0:00-0:15 イントロ。胸の中央が引っ張られる感じ。重心を低くしたい 0:15-0:35 Aメロ前半。指先がピクピクする。小さく動きたい 0:35-0:55 Aメロ後半。動きたくならない(!)静かなまま 0:55-1:15 Bメロ。腰のあたりが熱くなる。グルーヴ強い 1:15-1:30 サビ前のキメ。一瞬全部止まる感じ 1:30-1:55 サビ。肩から腕。大きく開きたい。フロアを広く使いたい ...

「動きたくならない」もちゃんと書く。これがあとで効いてくる。

なんでこれが効くか

何曲かやって分かったのは、振付の良し悪しを決めてるのは、「動いてる場所」じゃなくて「動いてない場所」だったってこと。

最初の作り方だと、30秒の塊ごとに均等にフレーズを作っていくから、全部の塊が同じくらい動いてる振付になる。これが「8カウントの連なり」感の正体。
反応マッピングをやると、自分の体が「ここは静かにしたい」って言ってる箇所が見えてくる。Aメロ後半とか、サビの直前とか。そこをガッツリ動かさないで作ると、サビが急に立ち上がる。コントラストが出る。

つまり、振付の重心は、最初に決まってる。
あとで「サビをどう盛り上げるか」を考えるんじゃなくて、最初に「ここで盛り上げて、ここを抜く」を決めちゃう。

それから、自分が反応した箇所は、踊ってても楽しい。
振付が完成して練習するときも、本番で踊るときも、最初の反応に戻れる箇所があると、グルーヴに自然に乗れる。これは生徒さんに教えるときも実感する。先生がノレてない振りは、生徒さんもノレない。

やってみて変わったこと

このマッピングを始める前と後で、3つくらい変わったことがある。

ひとつは、振付の制作時間が短くなった。前は1曲ぶん作るのに5〜6時間かかってたのが、3〜4時間で済むようになった気がする。最初に重心が決まってるから、あとで「Aメロが薄いな」って手戻りすることが減った。

ふたつめは、自分のクセが見えるようになった。
何曲かマッピングしてみたら、私はサビよりBメロで体が動くタイプだって分かった。それが分かってからは、Bメロの作り込みに時間をかけるようにしてる。逆にサビは、わざと振りを少なくして余白を作る、っていうのもアリだなって思うようになった。

みっつめは、依頼してくれた人と話すときのネタが増えた。
「この曲、私の場合はAメロ後半が止まりたくなるタイプなんですけど、どう思います?」って聞くと、相手が結構乗ってきてくれる。
「動きたい・動きたくない」っていう言葉は、ダンサーじゃない人にも伝わるみたい。これは予想外の発見だった。

注意点というか、向き不向き

最後にひとつ。
このやり方が合う曲と、合わない曲がある気がする。

R&B とかネオソウルみたいに、グルーヴが体に来やすい曲は、反応マッピングがすごくしやすい。逆に、テンポが速いダンスミュージック(EDM 系とか)は、体がずっと「動きたい」って反応するから、メリハリのためのマッピングがあんまり機能しない。そういう曲のときは、別のやり方(フォーメーションから組む、とか)をしてる。

それと、依頼者の意向がはっきりしてる場合は、自分の反応より相手の反応を優先する。
このやり方はあくまで、私が「自分の体で」作るときの最初の工程。


書いてて思ったけど、これって振付のテクニックっていうより、自分の体の聴き方の話だなって気がしてきた。
だから、明日からすぐ振付がうまくなる、みたいな話じゃない。1曲ぶん寝転がって聴いてみて、自分の体が何に反応するかを知る、っていうところから始めるしかない。
でも、それを1回やるだけで、たぶん次の振付は前と違うものになると思う。

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