加工不良の原因を、工程と作業者で分類した半年

加工不良の原因を、工程と作業者で分類した半年

11月から4月までの半年、うちの工場で出た加工不良を、工程と作業者の両方から分類し直した。
始めたきっかけは、去年の秋に主要取引先の購買担当から「不良の傾向を出してもらえないか」と言われたことだ。これまでも月次の不良率は出していたが、原因の内訳までは出していなかった。

最初は2、3ヶ月でまとめるつもりだったが、データが取れてくるとやめどころが分からなくなって、結局半年続けた。
表に直してみると、自分が現場で何となく感じていたことと、数字で見えてきたことが、半分くらい違っていた。

まず工程別の不良件数を並べた

うちの工場は私と職人4人、合わせて5人の体制で動いている。
扱う工程は旋盤、フライス盤、マシニングセンタ、平面研削、検査、の5つ。材質はSUS304、SS400、A5052が多い。月によってロットは違うが、半年の総生産は約3200個だった。そのうち不良として記録に上がったのは34件、不良率1.06%になる。

工程別に分けると、こうなった。

工程半年の不良件数主な不良内容
旋盤11件外径の寸法公差外れ、面粗さ不良、バリ残り
フライス盤6件平面度不良、座ぐり深さ違い
マシニングセンタ9件内径公差外れ、ねじ深さ違い、工具軌跡のずれ
平面研削3件面粗さ規格外、寸法上限超え
検査での見逃し5件出荷後に主要取引先で検出された分

旋盤とマシニングセンタが多いのは、件数で言えば想定の範囲だった。
うちの工場は旋盤加工の比率が高いから、件数だけ見れば旋盤が多いのは当然だ。ただ、生産数比で見ると、マシニングセンタの不良率が他より高めなのが気になった。

作業者別を重ねたら、見え方が変わった

最初は工程別だけ集計して、それで十分だと思っていた。
ところが、主要取引先からの依頼があった月の終わりに、念のため作業者別に分解してみた。これが、思っていたよりも自分の感覚と違った。

工程ベテラン中堅若手A若手B
旋盤1223311
フライス盤011226
マシニングセンタ212229
平面研削001113
検査見逃し111115
4579934

若手の2人の若手2人が、件数で言えば一番多い。
これは現場感覚と合っていた。若い職人ほど不良を出す、というのは想像通りだ。ただ、生産担当数で割ると、印象が変わる。

若手の2人は1人あたり月100個前後、私とベテランは月60個前後、中堅は月90個前後を担当している。
半年で割り戻すと、不良率は若手2人が1.5%前後、私とベテランが1.1%前後、中堅が1.3%前後だった。差はあるが、若手だけが突出して悪いわけではなかった。3年目以降になれば、不良率は0.5%は下がる、という単純な話ではなかったということだ。

工程と作業者を掛けると、本当の偏りが見えた

ここからが、半年やってよかったと思った部分だ。
工程ごとの作業者別不良率を、もう一段細かく見た。すると、ある一つの工程に作業者を問わず偏りが出ていた。

マシニングセンタだ。
5人全員が、ほぼ均等に不良を出している。1人2件前後で、極端な偏りがない。これは作業者の腕の問題ではなく、工程そのものに問題がある、という意味だ。

旋盤は逆だった。
若手の2人で6件、私・ベテラン・中堅の3人で5件。生産数で割ると、若手の不良率は私たちの倍ある。これは作業者の経験の問題で、教えれば下がる類の不良だ。

つまり、件数の絶対値だけ見ていると「若手の旋盤が多い」と判断してしまうが、率と作業者の散らばりを見ると、本当に対処すべきはマシニングセンタの方だった。

マシニングセンタの不良9件を、原因で並べ直した

そこから、マシニングセンタの9件をもう一度、原因で分け直した。

  • NCプログラムの工具補正値ずれ:3件
  • 工具の摩耗判断遅れ:2件
  • 治具の繰り返し精度不足:2件
  • 切削条件の選択ミス:2件

NCプログラムの工具補正値ずれが3件あって、これが一番引っかかった。
プログラムを書いているのは私だ。つまり、私の登録ミスが半年で3件、現場の作業者全員の手を経て不良として出た、ということになる。作業者を責める前に、私の仕事を直さなければいけない、という結論に静かに変わった。

治具の繰り返し精度不足の2件も、設備の問題だ。
うちの治具は古いものを直し直しで使っている。先代の頃に作ったものを、私が手を入れながら使ってきた。半年で2件出るなら、来期は治具の作り直しを予算に入れるべきだと思う。

半年でやってきたことの結論

半年の集計を表に直してから、主要取引先の購買担当に提出した。
担当からは「分解までしてくれたのは初めてです」と言われた。たぶん、他の協力工場は工程別までしか出していないのだと思う。私が出したものが特別に良いというより、主要取引先の側も、原因を内訳まで知りたかったのに、これまで誰も出していなかった、ということだ。

数字でひとつ気づいたのは、不良の原因の半分以上が、人ではなく工程に紐づいていた、ということだった。
最初に作業者別だけ見たときは「若手の教育を強化しなければ」と思っていたのが、半年後には「来期はマシニングセンタのプログラム見直しと、治具の更新が先だ」に変わった。私が現場で感じていたものと、表に直したものは、これくらい違うことがある。

次の半年で続けること

5月からは、不良票の書き方を少し変えた。
これまでは「不良内容」と「処置」の欄しかなかったが、「原因の推定(工程・作業者・設備のどれに紐づくか)」の欄を増やした。書く人によって判断は揺れるが、半年集めれば傾向は出る。

若手の2人には、半年集計の表は見せていない。
若手の不良率が他より高いのは事実だが、その差は経験の問題で、教えれば縮む。表を見せて「お前らが多い」と言うのは、私のやることではない。代わりに、旋盤の段取り替えで気になった点を、月に1度、私の隣で一緒にやって見せるようにした。

数字を取った理由は、人を責めるためではなく、自分の仕事を直すためだったと、半年経ってからやっと自分でも分かった。
主要取引先に出した表の控えは、事務所のキャビネットの一番下に置いてある。来年の今ごろ、もう一度同じ集計を取って、何が変わったかを見るつもりだ。

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